2010年1月16日土曜日

Tahnyaワンマンライブ-「Couleur」Release Party at JZBrat-

ニューアルバム「Couleur」のリリースを記念したTahnyaのワンマンライブを観に、渋谷JZBratへ。


JZBratは、いい意味でライブハウスっぽくないところがとても良かった。広々とオープンでフリーな印象のスペースで手垢がついていない感じ。ライブだけじゃなくいろんなイベントができそう。

これだけの広いスペースが人で埋まるのかちょっと心配しながら、そわそわとライブが始まるのを待っていたら、すすーっとステージ上にメンバーが集まり始め、静かにライブ開始。

始まりはInterludeのような短い演奏。楽器は使わず声だけ。Tahnyaボーカルのナヲちゃんが後ろ向きで指揮を執りはじめると、メンバーそれぞれが次第に声を重ねていく。まるでこれから何か厳かな儀式が始まるよう。

そして「目を閉じて ほら見えるでしょう」とナヲちゃんが歌い始めると、海の底に徐々に体が沈んでいくような感覚にとらわれる。Tahnyaの曲は、全てを洗い流して浄化したり、包み込んだり、時に激しく波打ったりという「水」の印象が強いが、正にオープニングからTahnyaの世界に包まれた。たまにナヲちゃんがキルケーかカリプソのように思える瞬間があるが、この時もそうだった。
とても素敵だった。

その後は、バンド形態で演奏が進む。

先月、名無しとして披露された新曲に「僕にとっての光」というタイトルがつけられたそうだ。なるほど。
先月聴いた時よりも曲が洗練されていた。


このバンド形態での演奏は、去年5月にioraさんと一緒にTahnyaが行ったライブ「ツフムカとヤカチヒルカの夜 第二夜」でも見たものだが、実はこの時のアンケートに、私は辛口のコメントを書いた。

私がTahnyaの曲で好きなところは、曲を聞く度に映像が頭の中に広がる所だと思う。聞く側が埋めることができるスペースというか「余白」が残されていて、曲を聞きながら様々なイメージを思い浮かべて、楽曲の世界に浸ることができる。空気をいっぱい含んだナヲちゃんの声、Tahnyaギターのヒラタ君の繊細で官能的なギターも演出として欠かせない。

でも、バンド形態にして人が多くかかわることで、Tahnyaの曲の中にある音と音の隙間にどんどん他の人のオタマジャクシが入ってきて隙間がなくなってしまい、聞く側が埋めることができる余白が無くなってしまう。

また、周りの音とあわせるためか、ヒラタ君のギターがどこか引いてしまうように全体の音の中に埋没し、あまり聞こえなくなってしまう点も気になる。

ヒラタ君の繊細で官能的なギターの音に身を委ねるというか、手のひらでコロコロ気持ちよく転がされるというか、その感覚がTahnyaを聞いている時に最も心地いいのに、それが残念ながら感じられない。集まったお客さんはTahnyaを、ナヲちゃんの歌、ヒラタ君のギターを、主にお目当てにしていると思うので、もっと突き抜けてイッて欲しいと思う。

バンド形態での演奏は、ツフムカ~の時より全体的に音がまとまっている印象だし、一つ一つの曲に工夫が加えられていたものの、やっぱり「ん~」と唸ってしまた。

20分の休憩の後に始まったセカンドステージは、Tahnya二人だけの演奏から始まった。正直、ホッとする。この形の演奏には全幅の信頼を置いている。二人が作る世界はNo Doubtに素晴らしい。今回の二人での演奏では「虹を架けたら」が特に素晴らしかった。

そして、チェロの方をお招きして三人体制で演奏された『「さよなら」は「おやすみ」に』。これは今回最も素晴らしかった。曲から人肌の温もりを感じるような演奏で、情感がこもった深いベルベットな世界が広がった。

再びバンド形態に戻り、新曲「サイン」が初披露された。Tahnyaの新たな面が表現されていて素敵な曲だった。これからさらに磨かれてもっといいものになっていくのだろう。この「サイン」と「忘れな草」、アンコールで演奏してくれた「おやすみ」はバンド形態でも素敵な演奏だった。

特に「おやすみ」は、Tahnyaの中で私が最も好きな曲なので、どうか素敵な演奏になりますようにと念じながら聞いていたが、心配は裏切られた。

曲のイメージが丁寧にプレイされていて、チェロの深い響きが「おやすみ」の世界をさらに広げてくれていた。


色々書き綴ったが、Tahnyaの楽曲はやはり素晴らしい。
一人でも多くの方の心に届いて欲しいと願ってやまない。