2010年9月28日火曜日

中国人船長釈放で感じた敗戦感。それでもなお、自分に何が出来るか考える。

沖縄県の尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に衝突してきた中国漁船船長が25日未明、処分保留のまま釈放された。

この報道を聞いたとき、65年前、敗戦を告げる昭和天皇の玉音放送を、膝をついて悔しさで震えるように聞いている人々の映像を思い出した。

戦後生まれで前の戦争を実際に体験していない自分にとっては、戦争に負けた時の悔しさ、情けなさ、屈辱とはこういう感覚だったのかと、初めてリアルに実感できた。

あまりの悔しさに、釈放のニュースを聞いたときには、涙が止まらなかった。


尖閣諸島が日本の領土であることは明白だ。

明治時代になるが、1885年から1895年まで日本政府は尖閣諸島の領有状況を調査して、いずれの国にも属していない事を慎重に確認した上で、閣議決定の後1895年に尖閣諸島を沖縄県に編入。その後、日本が戦争に敗れてからはアメリカの管理下に置かれ、1972年の沖縄返還で尖閣諸島は日本領土へ復帰した。

台湾と中国が尖閣諸島への領有権を主張し始めたのは1971年から。1969・1970年に国連が行った海洋調査で尖閣諸島に豊富な石油埋蔵量があることが分かってからだ。
尖閣諸島領有権問題 - Wikipedia


中国は東シナ海だけでなく、南シナ海でも、周辺の東南アジア諸国と緊張を高めている。
中国、南シナ海は「核心的利益」| 国内 | Reuters

日本はインドネシアやベトナムなどの東南アジア諸国及びアメリカと連携を深めて、中国が膨張しようとするならば、その膨張を共同で封じ込めるような動きを取らないといけない。そのためにも、今回、日本が法律に則って毅然と対応をしていく姿を他のアジア諸国に見せる必要がある。中国の攻勢に絶対に屈してはいけない。

と、考えていたのに、日本政府はあっさり圧力に屈してしまった。その姿は、日本国民だけでなく、アジア諸国にも失望感を与えただろう。

今、これらの国々に向けて日本政府からどんな言葉が発せられても、虚しいだけかもしれない。もはや日本は伝わる言葉を持っていないのではないかと、悲しい気持ちでいっぱいになる。


しかし、ただ虚しく悲しくしていても問題は解決しない。

ロシアもこの機に乗じて北方領土で動きを見せ始めている。このままだとどんどん日本が小さくなってしまい、幕末に龍馬達が憂いたように「日本がなくなってしまう」ことになりかねない。
北方領土初訪問か=29日、択捉島と国後島―ロ大統領 (時事通信) - Yahoo!ニュース


自分は何ができるか考えた。

まず自分の意見をもつこと、述べることだろう。そして、多くの日本国民が自分の意見をネットであれ、リアルワールドであれ、出来る範囲で表明すべきだ。そうすれば、次第に世論となって、政権を揺さぶるものになるはずだ。

自分が日本政府に求めるのは以下の行動だ。


1. 釈放に至った経緯を明らかにすること
誰が、いつ、どのような理由で釈放を決定したのか、建前論ではなく、正確な事実経緯が知りたい。まずは事実を明らかにすべきだ。

2. 衝突時のビデオを公開して非が中国漁船にあることを内外に明らかにすること
公判の証拠物件はうんぬんなど言っている場合ではない。今日本政府に必要なのはアピール力だ。自分に非がないのであれば堂々とそれを国民にも海外にも証明すべきだ。逮捕に至るほど悪質だったというその行為を今は聞いているだけだ。映像を公開して国民全員で共有すべきだ。

3. レアアースが事実上禁輸状態にあることをWTOに提訴すること
中国商務省は否定しているが、禁輸状態にあるのか調査し、証拠を集め、事実であればWTOに提訴すべきだ。あくまでも法律に則って違反しているのであれば違反していると声を上げるまでのこと。

4. 4人の邦人が拘束された証拠を求めること。粘り強く彼らの奪還を交渉すること
最も気になるのは拘束されている方々とそのご家族のことだ。拘束理由や証拠を明らかにするよう、中国側に求めよう。丹羽大使を一時帰国させ、国会で話を聞くのも一つの方法だ。

5. 胆をくくること

胆をくくるとは、拳銃を弾くことではなく、
「弾くぞ」
という決意をし、その決意を以て相手を怯ますということなのである。

向谷 匡史さんが書かれた『ヤクザ式ビジネスの「かけひき」で絶対に負けない技術』によると、このように、胆をくくると言うことが定義されている。そして、決して腹の底を見透かされてはいけないと。

また、空手の組み手で最初に教えることは「退がるな」というひと言だとも。

「前に出ろ、前に出て負けよ」ー口やかましくそう教えるのだ。
ヤクザは、掛け合い(交渉)で決して引かない。
退がらない。
一歩退がれば、相手は一歩出てくる。一歩譲れば、二歩目の譲歩を迫られる。二歩が三歩に、三歩が四歩に、そして最後は蹴散らされる。
だから一歩も退がらない。前に出る。

今、日本政府及び国民に必要なのは、このような交渉のかけひき力ではないだろうか。

要は決意の力だ。
だから私も決意をしようと思う。日本に非がないことを信じ、胆をくくって退かないことを決意する。
日本政府も胆をくくった対応をして欲しい。

もし、民主党政権が胆をくくった対応が出来ないのであれば、政権を返上してもらうまでだ。

国防は政治の基礎だ。国土が守られ、国民の安全が守られた上でこそ、毎日の生活が成り立つ。

日本は民主主義の国だ。もし現政権が胆をくくった対応が出来ないのであれば、国民主権に則って、日本の国防をどのように維持するか、日本国民の意見を問うべく総選挙をすべきだろう。

3 件のコメント :

  1. 政府も国民も、まずは「胆をくくること」だと思います。

    ようは「気合いの問題なんだ」とはスレッガー中尉のお言葉です。

    長らく平和を享受した日本人がこの気合いを持てるのかどうか。一時のカムランさんのように、なよなよしたまま終わってしまうのかどうか。それが問われているのだと思います。

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  2. 同感です。素晴らしい。しかし課題は、この様な問題意識の方が
    少ないことです。今の民主党を選んだのは我々です。そのTOPがこの低落です。多分自民党でも同じような腰抜けだったでしょう。

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  3. ハリーさん、コメントありがとうございます。

    これまで、自分自身も含めて、日本人は日本の領海や領空を守る意識が低かったと思います。

    ですが、今回の中国人船長釈放をきっかけにして起こっている国内議論は、これまでのものとは違うのではないかという印象を私は持っています。

    特に国防意識が強い方でなくても、今回の件では泣いたとか、さすがに危機感を持ったという声を聞きます。日本人が覚醒し始めたように感じます。

    私の今の心配は、この問題が沈静化し始めたときに、今回多くの国民が考えたことや危機感が結局は忘れられ、やるべきことをやらないままになってしまうのではないか、ということです。

    もし目覚めたのならば、再び眠らないように、自分の考えをしっかり持ち続けなければいけないと、自分の気を引き締めています。

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